被相続人とは?相続人との違いと、熊本・八代で相続手続きの窓口が決まる仕組み

「被相続人」とは、財産を遺して亡くなった方のことです。日常では「故人」と呼びますが、戸籍や遺産分割協議書、相続税の申告書など相続の書類では「被相続人」と書きます。これに対して、その財産を引き継ぐ人が「相続人」です。字が一文字違うだけなので取り違えやすいのですが、「被(される側)=亡くなった人」「相続人=受け継ぐ人」と覚えると迷いません。
このコラムでは、被相続人と相続人の違い、似た言葉との区別に加えて、実務でとても大切な「被相続人の情報で、どこの役所に何を出すかが決まる」という点を、熊本・八代の弁護士・司法書士の立場からご説明します。
被相続人と相続人の違い|似た言葉もあわせて整理
被相続人が遺す「相続財産」には、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金といったマイナスの財産も含まれます。相続人は原則としてその両方を引き継ぐ立場になります。似た言葉は次のとおりです。
- 相続人:実際に被相続人の財産を引き継ぐ人。相続放棄をした人は、はじめから相続人でなかったものとして扱われます。
- 法定相続人:民法で相続人になると定められた人。配偶者は常に相続人となり、子(第1順位)→直系尊属=親など(第2順位)→兄弟姉妹(第3順位)の順で、先の順位の人がいれば後の順位の人は相続人になりません。
- 推定相続人:まだ亡くなっていない方について、「今相続が起きたら相続人になる予定の人」。生前対策の場面で使います。
- 受遺者:遺言によって財産を受け取る人。相続人以外の方(お孫さん、お世話になった方、団体など)が受遺者になることもあります。
相続人が誰になるか、それぞれの取り分(法定相続分)の考え方は法定相続情報一覧図の解説でも図にしています。
被相続人について最初に調べること
相続手続きは「被相続人がどんな人で、何を遺したか」を確かめるところから始まります。主に次の3つです。
- 出生から死亡までの戸籍:被相続人の戸籍を生まれたときからすべて集め、ほかに子がいないかなどを確認して相続人を確定します。本籍を何度も移している方は、複数の市区町村に請求が必要になることがあります(2024年3月からは、本籍地以外の窓口でもまとめて請求できる「広域交付」も使えます)。
- 遺言書の有無:公正証書遺言は公証役場で検索でき、法務局に預けた自筆証書遺言は保管の有無を確認できます。
- 財産と借金の内容:通帳・郵便物・固定資産税の通知書などを手がかりに、プラスとマイナスの両方を調べます。
戸籍の集め方は相続登記に必要な戸籍の集め方、財産の調べ方は相続財産の調べ方で詳しくまとめています。
被相続人の「最後の住所地」で手続きの窓口が決まる(熊本・八代の場合)
意外と知られていないのが、相続手続きの提出先の多くは、相続人の住所ではなく被相続人の住所で決まるという点です。県外にお住まいのお子さんが熊本のご実家の相続を担当するときなどは特に注意が必要です。
- 相続放棄・遺言書の検認:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。熊本市にお住まいだった方なら熊本家庭裁判所、八代市にお住まいだった方なら熊本家庭裁判所八代支部が一つの目安ですが、管轄は裁判所の公式情報でご確認ください。相続放棄は原則として「自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内」です。
- 相続税の申告:被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署に、原則として亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告します。申告が必要かどうかは基礎控除額との比較で決まり、詳細は税理士・税務署にご確認ください。
- 被相続人の準確定申告:被相続人に所得があった場合、相続人が原則4か月以内に所得税の申告をします。
- 相続登記:こちらは例外で、被相続人の住所ではなく不動産の所在地を管轄する法務局が窓口です。
弁護士と司法書士の両方の資格があると、家庭裁判所への申立て(相続放棄・遺産分割調停など)と法務局への登記を一つの窓口で進められます。実務では、被相続人の住所・本籍・不動産の所在地がそれぞれ別の市町村にあることも珍しくありません。どこに何を出すかを最初に一覧にしておくと、二度手間を防げます。詳しくは熊本市の相続手続きの始め方、相続放棄の期限と必要書類、相続税の申告先もご覧ください。
書類での書き方|「被相続人との続柄」で迷わないために
申告書や申立書には「被相続人との続柄」を書く欄がよくあります。これは被相続人から見て自分がどういう関係かを書く欄です。亡くなったのがお父様で、書く人が長男なら「長男」または「子」、配偶者なら「妻」「夫」と書くのが一般的です。書き方は書類ごとに指定があるので、記載例がある場合はそれに合わせてください。
また、書類の「被相続人」欄には、被相続人の氏名・最後の住所・本籍・死亡日などを書きます。住民票の除票や戸籍に書かれたとおりに記載するのが基本で、住所の番地の書き方(「番地」「番」など)が違うだけで訂正を求められることもあります。
まとめ
- 被相続人=財産を遺して亡くなった方、相続人=その財産を引き継ぐ人です。
- 相続財産には借金などのマイナスの財産も含まれます。
- 相続放棄や検認は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所、相続税は被相続人の住所地の税務署、相続登記は不動産の所在地の法務局が窓口です。
- 期限のある手続きもあるため、まずは戸籍・遺言書・財産の3つを確認することから始めましょう。
監修:弁護士・司法書士 西田幸広(この街の相続/熊本・八代)
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
