熊本で遺言書があるか調べるには?公証役場の遺言検索と法務局の保管事実証明書

「親が亡くなったが、遺言書を残していたのかどうか分からない」というご相談は、熊本市でも八代市でも多く寄せられます。調べる先は大きく3つです。①自宅や貸金庫、②公証役場(公正証書遺言の有無)、③法務局(保管制度を使った自筆証書遺言の有無)。②と③は保管の仕組みがまったく別のため、片方で見つからなくても、もう片方を確認する必要があります。
まずは自宅と貸金庫を確認する
最初に探すのは、やはりご自宅です。仏壇や金庫の中、通帳や不動産の権利証と一緒に保管されていた、というケースは今でもよくあります。金融機関の貸金庫を借りていた場合は、その中も確認が必要です。
- 封がされた遺言書が出てきたら、その場で開封しないのが鉄則です。自筆証書遺言は原則として家庭裁判所の検認という手続きを経る必要があり、勝手に開封すると過料の対象になり得ます。
- 貸金庫は、相続開始後の開扉に相続人全員の関与や所定の書類を求められることが多く、金融機関ごとに扱いが異なります。事前に取扱店へ確認してから動くと無駄足になりません。
公正証書遺言は公証役場の「遺言検索システム」で調べる
公正証書で遺言を作っていた場合、その記録は日本公証人連合会で一元管理されています。相続人などの利害関係人であれば、全国どこの公証役場からでも、遺言書が作られているかどうかを照会できます。熊本県内にお住まいなら、お近くの公証役場で手続きが可能です。
- 照会できる人:遺言者が亡くなった後は、相続人・受遺者・遺言執行者などの利害関係人とその代理人です。遺言者の生前は、本人(とその代理人)以外は調べられません。
- 主な必要書類:遺言者が亡くなったことが分かる戸籍(除籍)謄本、自分が相続人であることが分かる戸籍謄本、顔写真付きの本人確認書類、印鑑など。代理人が行く場合は委任状等が加わります。
- 費用:有無を照会すること自体には手数料がかからない取扱いが一般的です。ただし、見つかった遺言書の謄本を取得する際は別途手数料がかかります。
- 注意点:郵送やインターネットでの検索はできず、窓口へ出向く必要があります。予約を求める公証役場もあります。かなり古い年代の遺言は登録対象外とされることがあり、その場合は作成した公証役場への個別照会が必要です。
自筆証書遺言は法務局の「遺言書保管事実証明書」で確認する
令和2年7月から始まった自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合、遺言書は法務局(遺言書保管所)に預けられています。この有無を確かめるのが「遺言書保管事実証明書」です。自分が相続人などになっている遺言書が保管されているかどうかを教えてもらえるもので、手数料は1通800円、全国どの遺言書保管所にも請求でき、窓口でも郵送でも可能です(法務省公表の手数料一覧による)。
保管が確認できたら次は中身です。内容を証明する「遺言書情報証明書」は1通1,400円、遺言書そのものの閲覧はモニターによる閲覧が1回1,400円、原本の閲覧が1回1,700円とされています。なお、この制度を使って保管された遺言書は、家庭裁判所の検認が不要になるという大きな利点があります。手続きはいずれも予約制です。
熊本・八代で動くときに気をつけたいこと
熊本で実際に調査を進める際、つまずきやすいのは次の3点です。
- 法務局は全ての庁で遺言書保管を扱っているわけではありません。熊本地方法務局では遺言書保管に関する手続きはすべて予約が必要とされています。八代市など市外から向かう場合は、取扱庁と予約枠を事前に確認してから出発すると二度手間を防げます。
- 最初の関門は戸籍集めです。公証役場も法務局も、亡くなったことと自分が相続人であることを戸籍で示す必要があります。本籍を何度も移していたり県外だったりすると、戸籍の収集だけで数週間かかることも珍しくありません。ここは早めに着手してください。
- 見つかった後こそ本番です。不動産があれば相続登記へ、内容に納得できない場合や遺留分の問題があれば交渉・調停へと進みます。当事務所は弁護士と司法書士の両方の資格で、調査から登記、争いになった場合の対応までを一つの窓口でお引き受けしています。
3つとも確認して見つからなければ、遺言書はないものとして相続人全員での遺産分割協議へ進みます。「探したが無かった」という確認自体が、後々の紛争予防になります。
まとめ
遺言書の有無は、①自宅・貸金庫 → ②公証役場の遺言検索 → ③法務局の遺言書保管事実証明書の順に確認するのが基本です。②と③は別々の制度なので、必ず両方を当たってください。封のある遺言書は開けないこと、先に戸籍を揃えておくことが、遠回りしないためのコツです。手数料や必要書類の最新の取扱いは、公証役場・熊本地方法務局などの公的機関にご確認ください。
「どこから手を付ければよいか分からない」という段階でも構いません。熊本・八代で相続のご相談をお考えの方は、この街の相続へお気軽にお問い合わせください。
監修:弁護士・司法書士 西田幸広(この街の相続/熊本・八代)
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
