熊本市東区のアパートを家族信託するには?ローン・敷金・確定申告の注意点と手続きの流れ

熊本市東区でアパートを貸している方から、「親が元気なうちに管理を子に任せたい」というご相談をいただきます。結論として、賃貸物件を家族信託することは可能です。ただし自宅を信託する場合と違い、アパートローンがあるかどうか、賃料と敷金の受け皿をどう作るか、確定申告にどんな制限がかかるかという3つの関門があります。ここを確認せずに進めると、後から金融機関や税務の問題が出てきます。
1. 熊本市東区のアパートを家族信託する手続きの流れ
大きな流れは自宅の場合と同じで、5つの段階に分かれます。
- 設計|誰を受託者にし、賃料を誰が受け取るか、親が亡くなった後の引き継ぎ先を決めます。売却や建て替えまで任せるかも、この段階で詰めます。
- 信託契約書の作成|受託者の権限、賃料・敷金の扱い、修繕費の出し方、信託終了時の引き継ぎ先を書き込みます。収益物件では公正証書にしておくと、金融機関や取引先への説明がしやすくなります。
- 信託登記|土地建物の名義を受託者に移し、信託目録を登記します。熊本市東区の物件なら管轄は熊本地方法務局(本局)です。登記事項証明書、固定資産評価証明書、委託者と受託者の印鑑証明書などが必要です。
- 信託口口座の開設|賃料の入金と経費の支払いを、受託者個人のお金と混ぜずに管理します。
- 入居者・管理会社への通知|賃貸人の立場が受託者に移るため、賃料の振込先変更などを案内します。
登記の詳しい段取りは熊本市東区の自宅を家族信託するときの信託登記の手続きと必要書類、費用の内訳は家族信託の費用は総額いくらかでご紹介しています。
2. アパートローンが残っているときは金融機関の承諾が先
ここが収益物件で最も見落とされやすい点です。アパートローンの金銭消費貸借契約書には、担保不動産の名義を移すときは金融機関の承諾を得る、という条項が置かれているのが通常です。信託登記は名義を受託者に移す手続きですから、この条項に触れます。承諾を得ずに信託登記をすると契約違反と扱われ、残債の一括返済を求められるおそれがあります。
ローンが残っている場合、実務では次の整理のしかたがあります。
- 借入名義は親のまま残し、受託者が賃料から毎月の返済額を親の返済口座へ送金する。
- 受託者が債務を引き受け(免責的・重畳的のいずれか)、借入名義も受託者に移す。
- 信託の枠の中で新たに借り入れる。
どの形を取れるかは金融機関の方針で分かれ、家族信託に対応していない支店もあります。相続税の計算で借入金を債務として差し引けるかどうかも、信託の設計によって考え方が変わる論点です。借入のある物件は、契約書の形を決める前に金融機関と相談し、税務は税理士に確認してから進めるのが安全です。口座の探し方は熊本で家族信託の信託口口座を開設する方法にまとめています。
3. 賃料・敷金・確定申告は受託者の実務になる
信託すると賃貸人の立場が受託者に移り、入居者募集、修繕工事の発注、管理会社との契約、退去時の敷金精算まで、実際に手を動かすのは受託者です。すでに預かっている敷金をどう引き継ぐか、修繕費を信託財産から出すのかも契約書で決めます。「名義を移すだけ」では済まないことを、家族で共有しておいてください。
税務面には、知らないと損をする制限があります。信託した賃貸不動産から赤字が出ても、その損失は信託していない物件の黒字や給与所得と損益通算できず、翌年以降への繰越しもできません。別の信託契約に入れた物件との通算も認められません。築年数が古く赤字になりやすい物件を安易に信託すると、これまでできていた節税ができなくなることがあります。赤字が見込まれる物件は対象から外すか、黒字物件と同じ一つの契約にまとめる検討が必要です。
また、受託者には信託財産の収益が一定額を超える場合に「信託の計算書」を税務署へ提出する義務があり、受益者(通常は親)の確定申告にも収入と経費の内訳明細を添える扱いになります。金額の要件や期限は変わり得るため、税務署または税理士にご確認ください。
4. 熊本市東区・八代の現場でつまずきやすい点
- 物件が市外・県外にある|信託登記は物件ごとの管轄法務局で行うため、所在地を先に洗い出すと段取りが早くなります。
- 共有になっている|兄弟で共有している物件は、共有者全員が同じ方向を向かないと信託できません。信託の前に共有関係を整理するかの判断が入ります。
- 相談先が分かれる|収益物件の信託は登記(司法書士)、家族間の利害調整と契約内容(弁護士)、税務(税理士)が絡みます。当事務所は弁護士と司法書士を兼ねているため、もめごとの火種を見ながら契約書を作り、そのまま信託登記まで一つの窓口で進められます。税務は提携の税理士と連携します。
費用は物件数や評価額、公正証書にするかで変わり、設計・契約書作成・信託登記・登録免許税を合わせて数十万円から百万円台になることが多いですが、正確な金額は見積もりでご確認ください。なお家族信託そのものに相続税を軽くする効果はなく、認知症などで管理ができなくなる前に管理と承継の道筋をつける仕組みです。この点は熊本市東区で家族信託を始めるにはでもご説明しています。
まとめ
熊本市東区のアパートを家族信託するなら、①ローンがあるなら信託登記の前に金融機関の承諾を取る、②賃料・敷金・修繕費の流れを契約書に書き込む、③信託した物件の赤字は信託外と通算できないことを踏まえて対象を選ぶ――この3点を押さえてください。順番を間違えると、一括返済を求められたり、これまでの節税が使えなくなったりします。物件の資料と返済予定表をお持ちいただければ、どの形が取れそうかを一緒に確認できます。熊本・八代で収益物件の承継をお考えの方は、お早めにご相談ください。
監修:弁護士・司法書士 西田幸広(この街の相続/熊本・八代)
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
最終更新:2026年10月9日
