家族信託の費用は総額いくら?内訳と財産額別の相場を一覧で解説

「家族信託を検討しているが、費用が総額でいくらになるのか分からない」というご相談は非常に多くいただきます。結論から申し上げると、家族信託の費用は信託する財産の額の1%前後に実費を加えた金額が一つの目安で、自宅と預貯金を託す一般的なご家庭であれば初期費用の総額はおおむね50万〜100万円程度に収まるケースが多くなっています。この記事では、その内訳と財産額別の相場を整理します。
家族信託の費用は「初期費用」と「ランニングコスト」に分かれる
まず押さえていただきたいのは、家族信託の費用は性質の異なる2種類に分かれるという点です。
一つは、信託を設計して契約を結ぶときに一度だけかかる初期費用です。専門家への報酬や公証役場の手数料、不動産があれば登記にかかる税金などがこれにあたり、費用の大部分を占めます。もう一つが、信託開始後に継続してかかるランニングコストです。多くのご家庭ではご家族が受託者(財産を預かって管理する人)を務めて無報酬とするため、毎年の固定的な支出はほとんど発生しません。「家族信託の費用」として調べられる金額の多くは、前者の初期費用を指しています。
家族信託の費用の内訳と相場【4つの項目】
初期費用は、次の4つに分解して考えると全体像がつかみやすくなります。
1. コンサルティング報酬……ご家族の状況をうかがって信託の設計を行い、家族間の合意形成や金融機関との調整までを担う部分の報酬です。信託する財産の評価額の1%前後を基準とし、最低報酬を30万円程度と設定している事務所が多く見られます。財産額が大きい場合は、超過部分の料率を段階的に下げる料金体系が一般的です。
2. 信託契約書の作成報酬……信託の内容を条項に落とし込み、契約書として仕上げる費用で、10万〜15万円程度が目安です。1のコンサルティング報酬に含まれている事務所もあるため、見積書ではこの点を必ず確認してください。
3. 公正証書の作成手数料……信託契約書は公正証書で作成するのが実務上ほぼ必須で、公証役場に支払う実費として3万〜10万円程度かかります。信託する財産の額が大きいほど手数料も上がる仕組みです。
4. 信託登記にかかる税金と報酬……不動産を信託する場合のみ必要になる費用です。名義を受託者に移す登記に対して登録免許税がかかり、税率は不動産の固定資産税評価額に対して0.3〜0.4%程度(土地か建物か、軽減措置の適用があるかで異なります)。これに司法書士への登記報酬が加わり、あわせて10万円前後からが目安となります。
財産額別に見る家族信託の費用の総額の目安
上記の4項目を合計した初期費用の総額は、信託する財産の額によっておおよそ次のようになります。
信託財産が3,000万円程度(ご自宅と預貯金を託すケース)であれば総額50万〜80万円程度、5,000万円程度なら70万〜100万円程度、1億円程度なら100万〜150万円程度が一般的な水準です。ここで大切なのは、信託するのは財産の全部でなくてよいという点です。認知症に備える目的であれば、対象を自宅と生活費相当の預貯金に絞ることで信託財産の評価額が下がり、費用も抑えられます。財産をすべて信託に入れる必要はありません。
費用を比較するときに見るべき3つのポイント
複数の事務所から見積りを取る際は、金額の大小だけでなく次の点を確認されることをおすすめします。
第一に、見積りに含まれる範囲です。公正証書の手数料や登録免許税といった実費が別枠になっていないかで総額は変わります。第二に、不動産の件数です。信託する不動産が増えるほど登録免許税と登記報酬が積み上がります。第三に、信託開始後のサポート体制です。家族信託は10年、20年と続く仕組みですから、受託者が判断に迷ったときの相談先が確保されているかは、目先の数万円の差より重要になることが少なくありません。
まとめ
家族信託の費用は、コンサルティング報酬・契約書作成報酬・公正証書手数料・信託登記費用の4項目で構成され、総額は信託する財産の額の1%前後を目安に、一般的なご家庭で50万〜100万円程度となるのが実情です。決して小さな金額ではありませんが、認知症によって自宅が売れず預金も動かせなくなる事態を防げること、成年後見制度のように毎年の報酬が続く仕組みではないことを踏まえて、ご家族の状況に照らして比較検討されるとよいでしょう。まずは何を信託するかを整理したうえで、内訳の分かる見積りを取ることが第一歩です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
