遺言と家族信託の違いとは?特徴を知って上手に使い分ける

相続対策を考えるとき、よく比較されるのが「遺言」と「家族信託」です。どちらも大切な財産を次の世代へ引き継ぐための制度ですが、その仕組みや効力が生じるタイミングは大きく異なります。両者の違いを正しく理解することで、ご自身の目的に合った備えを選べるようになります。ここでは、それぞれの特徴と上手な使い分けについて分かりやすく解説します。
遺言とは:亡くなった後の財産の行き先を決める
遺言(いごん)とは、ご自身が亡くなった後に、誰にどの財産を引き継がせるかを書面で残しておく制度です。効力が生じるのは亡くなった時点からで、生前の財産管理には関与しません。自筆証書遺言や公正証書遺言などの方式があり、比較的手軽に作成できる点が特徴です。ただし、あくまで「次の一代」への承継を指定するものであり、その先の承継先まで縛ることは原則できません。
家族信託とは:元気なうちから財産管理を託せる
家族信託とは、信頼できる家族(受託者)に財産の管理や処分を託しておく契約です。大きな特徴は、契約を結んだ時点から効力が生じる点にあります。つまり、ご本人が元気なうちから財産管理を任せられるため、将来認知症などで判断能力が低下した場合でも、口座の凍結や不動産の塩漬けを防ぎやすくなります。さらに、二次相続以降の承継先まで柔軟に設計できる(受益者連続型)点も、遺言にはない強みです。
両者の違いと使い分けのポイント
整理すると、遺言は「亡くなった後」の財産の行き先を、家族信託は「生前から亡くなった後まで」の財産管理と承継をカバーします。認知症への備えを重視するなら家族信託、手軽に財産の分け方だけを決めておきたいなら遺言、というのが基本的な考え方です。もっとも、両者は二者択一ではありません。信託していない財産(少額の預貯金や祭祀に関するものなど)については遺言でカバーするなど、併用することでより隙のない対策になります。
まとめ
遺言と家族信託は、それぞれ得意とする場面が異なります。ご自身やご家族の状況、そして「何に備えたいのか」という目的を明確にしたうえで選ぶことが大切です。特に、認知症対策や複数世代にわたる承継を見据える場合は、家族信託と遺言を組み合わせた設計が有効なケースも少なくありません。どちらが適しているか迷われる場合は、専門家に相談しながら全体像を整理していくことをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
