熊本市東区で相続の相談はどこにする?手続きの流れと相談先の選び方

熊本市東区で親御さんが亡くなり、「まず誰に相談すればいいのか分からない」というお声をよくいただきます。結論からお伝えすると、相談先は「困っている中身」で決めるのが一番の近道です。自宅の名義を変えたいだけなら司法書士、話し合いがまとまらないなら弁護士、相続税がかかりそうなら税理士、まず無料で方向性を確認したいなら区役所や法テラスの無料相談、という整理になります。この記事では、東区にお住まいの方が実際に踏むことになる手続きの流れと相談先の選び方に加えて、遺産分割協議の前提となる相続財産調査の進め方、相続放棄の期限と申述先、相続税がかかるかどうかの目安まで、順にご説明します。
熊本市東区の相続で最初に確認したい3つのこと
相談先を選ぶ前に、次の3点をざっと確認しておくと話が早く進みます。
1つ目は財産の中身です。東区は健軍・長嶺・託麻・戸島などの住宅地が広がる地域で、遺産の中心が「自宅の土地建物+預貯金」というケースが多くみられます。この形であれば、手続きの山場は相続登記(不動産の名義変更)と金融機関の解約です。
2つ目は相続人が何人いるかです。戸籍を取り寄せてみたら面識のない兄弟姉妹や代襲相続人(本来の相続人が先に亡くなっている場合に代わって相続する人)がいた、というのは珍しくありません。
3つ目はもめる要素があるかどうかです。全員が同じ方向を向いているのか、それとも分け方に不満を持っている方がいるのか。ここが相談先の分かれ道になります。
相談先の選び方|司法書士・弁護士・税理士・公的窓口
司法書士は、相続登記を中心とした名義変更の専門家です。相続人同士に争いがなく、自宅の名義を子や配偶者に変えたいという場合は、司法書士に依頼するのが標準的です。
弁護士は、話し合いがまとまらない場面で力を発揮します。分け方で意見が割れている、連絡が取れない相続人がいる、生前に多額の援助を受けた人がいて不公平だ(特別受益)といったケースでは、交渉や家庭裁判所での遺産分割調停まで一貫して任せられます。
税理士は相続税の申告が必要になりそうなときです。基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えそうなら、早めに試算だけでも依頼しておくと安心です。
公的窓口としては、区役所で実施される無料法律相談や法テラスがあります。「そもそも何から手をつけるべきか」を整理する一次相談に向いています。
なお、当事務所のように弁護士と司法書士の両方の資格を持つ事務所であれば、登記も交渉も窓口を分けずに進められるため、途中で「これは別の専門家へ」と振り出しに戻る手間が省けます。
東区にお住まいの方の相続手続きの流れと窓口
実際の流れは、おおむね次のとおりです。
①戸籍を集めて相続人を確定する…亡くなった方の出生から死亡までの戸籍が必要です。本籍が熊本市内であれば区役所の窓口で取得できます。
②財産を洗い出す…不動産は毎年届く固定資産税の納税通知書、預貯金は通帳やキャッシュカードが手がかりになります。
③遺産分割協議書を作る…相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。
④名義変更を行う…不動産の相続登記は、その不動産を管轄する法務局へ申請します。熊本市内の不動産については熊本地方法務局の本局が窓口となるのが原則ですが、管轄は事前に確認してください。相続放棄や遺産分割調停を申し立てる場合は、熊本家庭裁判所が窓口です。いずれも東区内には出先窓口がないため、中央区まで足を運ぶ前提でスケジュールを立てておくとよいでしょう。
期限のある手続きを見落とさない
相続には期限のある手続きがあります。相続放棄は原則として相続の開始を知ってから3か月以内、相続税の申告と納付は10か月以内。そして2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を取得したことを知った日から原則3年以内の申請が必要になりました。正当な理由なく放置すると過料の対象となる可能性があります。
特に注意したいのが、借金がありそうなケースです。3か月を過ぎてしまうと原則として相続放棄ができなくなるため、「財産より借金のほうが多いかもしれない」と少しでも感じたら、その時点で早めにご相談ください。
相続財産調査はどこまでやるか|東区の自宅と預貯金を漏れなく洗い出す
相談の場で一番つまずきやすいのが、「うちにどんな財産があるのか、実は誰も正確には知らない」という状態です。遺産分割協議書を作ったあとで別の口座や土地が出てくると、協議をやり直すことになりかねません。最初に財産の全体像をつかんでおくことが、結局は一番の近道になります。
不動産は、毎年春に届く固定資産税の納税通知書が出発点です。ただし通知書には、非課税の土地や持分のわずかな私道が載らないことがあります。熊本市では、市が把握している名義人の不動産を一覧にした名寄帳(固定資産課税台帳)を取得できますので、東区役所の税務窓口などで相続人であることを示す戸籍を添えて請求すると、漏れを防ぎやすくなります。市外に土地をお持ちの場合は、その市町村に別途請求が必要となるのが原則です。
預貯金は、通帳やキャッシュカード、郵便物が手がかりです。取引のありそうな金融機関には、死亡日時点の残高証明書を発行してもらいます。あわせて数年分の取引履歴を取り寄せておくと、引き落とし先から保険契約や証券口座、借入れの存在に気づけることがあります。近年はネット銀行やネット証券が絡むケースも増えており、通帳が存在しないため、メールやスマートフォンのアプリが唯一の手がかりということもあります。
借金などのマイナスの財産も必ず確認してください。金融機関からの借入れやクレジットカードの残債は、信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)へ開示請求をすれば、相続人の立場で調べられます。ここを飛ばすと、あとで請求が届いてから慌てることになります。
東区のご相談では、ご自宅は健軍や長嶺にあるけれども、先代から引き継いだ田畑や山林が益城町・菊陽町など近隣の市町村に残っていた、という例が少なくありません。田畑が含まれる場合は農地法の届出が別途必要になるなど、手続きが一段増えます。財産調査の段階で気づけるかどうかで、その後の負担がかなり変わります。
相続放棄を考えるとき|3か月の起算点と申述先、やってはいけないこと
財産より借金のほうが多そうなときに検討するのが相続放棄です。東区にお住まいの方の場合、申述先は熊本家庭裁判所(亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所)となるのが原則です。東区内に窓口はありませんので、中央区まで出向くか郵送で手続きすることになります。
必要になるのは、相続放棄申述書、亡くなった方の死亡の記載のある戸籍と住民票の除票、申述する方の戸籍などです。あわせて申述人1人につき収入印紙800円と、連絡用の郵便切手が必要となるのが原則です。切手の金額は裁判所や時期によって異なりますので、申立ての前に熊本家庭裁判所へご確認ください。
期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」です。この起算点は必ずしも亡くなった日とは限りません。疎遠だった親族の債権者から突然通知が届いて初めて相続人だと知った、というケースでは、知った時点から数えるべき場合があります。3か月では財産調査が終わらないという事情があるときは、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てる方法もありますが、これも3か月の期間内に申し立てる必要があります。
そして、放棄を考えているなら絶対に避けていただきたい行為があります。亡くなった方の預金を引き出して使う、不動産や車を売却する、賃料や売掛金を受け取る、といった行為です。これらは相続することを認めた(法定単純承認)とみなされ、その後は放棄が認められなくなるおそれがあります。葬儀費用の支出については個別の事情によって評価が分かれる領域ですので、動く前にご相談ください。
もう一点、見落とされがちなのが放棄した後の影響です。子が全員放棄すると相続権は次の順位(親、いなければ兄弟姉妹)へ移りますので、疎遠な親族に突然通知が届くことになります。親族間の関係を考えると、放棄する旨を事前に伝えておくほうが円満に進むことが多いです。また、放棄をしても、その時点で現に空き家などを占有していた場合には、他の相続人などに引き渡すまで保存する義務が残る点にも注意が必要です。
相続税がかかるか見分ける目安と、申告が必要になる意外なケース
「うちは相続税がかかりますか」というご質問もよくいただきます。おおまかな目安は、遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかです。相続人が3人であれば4,800万円が目安になります。申告と納付の期限は10か月以内で、申告先は亡くなった方の最後の住所地を管轄する税務署です。管轄は国税庁のホームページで確認できます。
ここで気をつけていただきたいのが、「税額がゼロでも申告が必要になる場合がある」という点です。配偶者の税額軽減や、自宅の土地の評価を大きく下げられる小規模宅地等の特例は、いずれも申告することが適用の前提とされています。計算上は納税額が出ないから何もしなくてよい、と判断してしまうと、特例そのものが使えなくなるおそれがあります。判断に迷う場合は、早い段階で税理士にご相談ください。
なお、個別の税額計算や申告そのものは税理士の業務領域です。当事務所では、相続税がかかりそうなご相談については提携先の税理士と連携し、登記・遺産分割と税務の窓口が別々にならないように進めています。
また、生前対策として家族信託をご検討の方に一点補足します。家族信託は、認知症などで判断能力が低下したあとも自宅の管理や売却を託した家族が続けられるようにする仕組みであり、それ自体に相続税を軽くする効果はありません。節税を目的とするなら別の検討が必要です。東区で家族信託を公正証書にする手順や費用については、熊本市東区で家族信託を公正証書にするには?もあわせてご覧ください。不動産の名義変更そのものの進め方は、相続登記を熊本市で行うには?で詳しくご説明しています。
まとめ
熊本市東区での相続は、「自宅の名義変更が中心か」「もめる要素があるか」「相続税がかかりそうか」の3点で相談先を選ぶと迷いません。名義変更中心なら司法書士、争いがあるなら弁護士、税金が絡むなら税理士、まずは整理したいなら公的な無料相談という流れです。手続きの窓口は中央区にあることが多いため、必要書類をまとめて動けるよう準備しておくと負担が軽くなります。期限のある手続きもありますので、迷った段階で一度専門家に状況を見てもらうことをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
