家族信託の費用は誰が払う?親・子・信託財産の負担の考え方|熊本の家族信託、相続対策なら弁護士・司法書士へ相談|この街の相続|弁護士・司法書士 西田幸広

家族信託の費用は誰が払う?親・子・信託財産の負担の考え方

家族信託の費用は誰が払う?費用の種類ごとの一般的な負担者を示した比較表

家族信託を検討するとき、多くの方が最後に気にされるのが「この費用は、結局誰が払うのか」という点です。親のための仕組みなのに子が負担してよいのか、始めた後の費用は誰が出すのか——結論から申し上げると、原則は「委託者(財産を託す親本人)」の負担であり、信託が始まった後のランニング費用は信託財産の中から支出するのが一般的です。以下で、費用の種類ごとに整理します。

家族信託の費用は誰が払うのが原則か

家族信託の初期費用(専門家へのコンサルティング報酬、信託契約書の作成報酬、公正証書にするための公証人手数料など)は、設計を依頼したご本人=委託者である親が、自身の財産から支払うのが基本です。家族信託はあくまで「親自身の財産をどう管理・承継させるか」を決める契約であり、その費用は親自身の財産管理コストと考えられるためです。

「委託者」とは財産を託す人(多くは親)、「受託者」とは託された財産を管理する人(多くは子)を指します。契約の当事者として費用を負担すべきなのは、原則として委託者だとご理解ください。

子どもが立て替えると贈与とみなされることも

実務では「親の預金を動かすのが手間だから」と、受託者となる子がまとめて支払ってしまうケースが見られます。少額であれば直ちに問題にはなりませんが、本来は親が負担すべき費用を子が肩代わりした形になるため、金額が大きいと親から子への利益移転(贈与)と評価される余地が残ります。逆に、子が負担した費用を後から親の財産で精算した場合も、記録がなければ「使い込みではないか」と他の親族に疑われかねません。

立て替えが避けられない場合は、誰がいつ何のために支払い、いつ精算したのかを領収書と出納記録で残すことをおすすめします。

信託開始後のランニング費用は信託財産から

信託がスタートした後にも、信託口口座の管理費用、不動産の固定資産税や修繕費、信託財産に関する税務申告費用、専門家への継続相談料といった費用が発生します。これらは受託者が信託財産の中から支出するのが通常の取り扱いです。受託者は他人の財産を預かって管理する立場であり、その管理に必要な費用を自腹で負担する必要はありません(信託法上も、受託者は信託財産から必要な費用の償還を受けられるとされています)。

不動産を信託する際の登録免許税や司法書士報酬についても、契約でそのように定めておけば信託財産から支出することが可能です。

トラブルを防ぐには信託契約書に負担者を明記する

ここが最も大切な点ですが、誰が費用を負担するかは法律で一律に決まっているわけではなく、信託契約書の定め方で調整できます。そのため、契約書に「信託事務の処理に必要な費用は信託財産から支出する」といった条項を入れておくことで、後の判断に迷わずに済みます。

負担者があいまいなまま長年運用すると、「兄が親のお金を勝手に使っている」といった親族間の不信につながることがあります。費用の出どころを契約段階で決め、受託者が帳簿をつけて説明できる状態にしておくことが、家族信託を長く安全に続けるための備えになります。

まとめ

家族信託の費用は、初期費用は委託者である親本人、開始後のランニング費用は信託財産からというのが基本の考え方です。子が立て替える場合は贈与と見られないよう記録を残し、そもそも誰が負担するのかを信託契約書に明記しておけば、費用をめぐる後日の争いはほとんど防げます。費用の負担割合や条項の書き方に迷われたときは、設計段階で専門家にご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。

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