家族信託を自分でやるといくら?費用を抑える方法と専門家に依頼すべきケース

「家族信託に興味はあるけれど、専門家に頼むと費用が高そう。自分でできないの?」——そう考えて費用を調べている方は少なくありません。結論から言うと、家族信託は自分で手続きすること自体は可能で、その場合は専門家への報酬をかけずに済みます。ただし、設計を誤ると無効になったり、余計な税金や手間がかかったりするリスクもあります。この記事では、家族信託を自分でやる場合にかかる費用と、専門家に依頼すべきケースを整理します。
家族信託を自分でやる場合にかかる費用
まず押さえておきたいのは、「自分でやれば完全に無料になる」わけではないという点です。専門家への報酬はかかりませんが、次のような実費はどちらの場合でも発生します。
・公正証書の作成手数料…信託契約書は公正証書で作るのが実務上ほぼ必須で、公証役場に数万円程度の手数料を支払います。
・登録免許税・登記費用…信託財産に不動産が含まれる場合、名義を受託者(財産を預かり管理する人)へ移す信託登記が必要で、固定資産税評価額に応じた登録免許税がかかります。
・その他の実費…戸籍や登記事項証明書などの取得費用です。
これらを自分で手配すれば、専門家報酬(一般的に信託財産の額や内容に応じて30〜80万円ほど)を節約できる、というのが「自分でやる」最大のメリットです。上の比較表もあわせてご覧ください。
自分でやる場合に注意したいリスク
費用を抑えられる一方で、家族信託を自分で組成することには次のような落とし穴があります。
・契約条項の不備…家族信託は自由度が高い分、条項の作り方次第で意図した効果が得られなかったり、一部が無効と判断されたりすることがあります。
・想定外の課税…信託の設計は贈与税・相続税・所得税などと密接に関わります。税務の視点が抜けると、思わぬ課税を招くことがあります。
・信託口口座を開設できない…金融機関によっては、専門家が関与した契約書でないと信託専用口座(信託口口座)の開設に応じないところもあります。
家族信託は一度作れば数十年にわたって続く契約です。作り直しになると、かえって費用と時間がかかってしまう点に注意が必要です。
費用を抑えつつ失敗しないための考え方
「費用は抑えたいが、失敗もしたくない」という方には、全部を自分で抱え込むのではなく、設計や契約書のチェックだけ専門家に相談するという中間的な進め方もあります。財産の内容がシンプルで金額も大きくない場合は自分で進めやすい一方、不動産や自社株が含まれる、家族の関係が複雑、税金の影響が大きいといったケースでは、専門家のチェックを受けたほうが結果的に安く済むことが多いといえます。まずは見積もりを取り、報酬に見合う安心が得られるかで判断するとよいでしょう。
まとめ
家族信託を自分でやれば専門家報酬は不要ですが、公正証書手数料や登記費用などの実費はかかり、設計を誤ると無効や余計な課税につながるリスクがあります。財産や家族関係が複雑な場合ほど、専門家に依頼または相談する価値が高くなります。費用と安心のバランスを見ながら、ご自身に合った進め方を選びましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
家族信託のデメリットとは?始める前に知っておきたい注意点と対策

家族信託のデメリットとは?まず押さえたいポイント
家族信託は、認知症などで判断能力が低下した後も、信頼できる家族が財産を管理・活用できるようにする仕組みで、近年注目を集めています。一方で「家族信託 デメリット」と検索される方が多いのは、始めてから後悔しないよう事前に弱点を知っておきたいという不安の表れでしょう。結論から言えば、家族信託には主に「初期費用がかかる」「直接の節税にはならない」「信託財産の損失を他の所得と通算できない」「受託者(財産を任される家族)に継続的な負担が生じる」という4つのデメリットがあります。まずはこの全体像を押さえ、自分の家庭に当てはまるかどうかを確認することが大切です。
費用と手間に関するデメリット
家族信託を始めるには、契約内容の設計や公正証書の作成、不動産がある場合の登記など、いくつかの手続きが必要です。専門家に依頼する場合はその報酬もかかり、財産の額や内容に応じてまとまった初期費用が発生します。遺言書の作成と比べると割高に感じられることもあります。ただし、認知症で預金や不動産が凍結された後に成年後見制度を使い続ける費用と比べると、長い目で見れば負担が抑えられるケースもあります。「高いから避ける」ではなく、目的と得られる安心に見合うかで判断するとよいでしょう。
税務に関するデメリット(節税・損益通算)
誤解されやすいのが「家族信託をすれば相続税が減る」という点です。家族信託はあくまで財産管理と承継のための仕組みであり、それ自体に直接の節税効果はありません。相続税や贈与税の負担は、信託を使わない場合と基本的に変わらないと考えておきましょう。
さらに注意したいのが「損益通算」の制限です。損益通算とは、ある所得で出た損失を他の所得の利益と相殺して税負担を軽くする仕組みですが、信託した賃貸不動産などで赤字が出ても、信託外の所得とは相殺できないルールがあります。収益不動産をお持ちの方は、税理士など専門家に事前に確認しておくと安心です。
受託者の負担と制度面のデメリット
家族信託では、財産を任される「受託者」に継続的な責任と実務が生じます。信託財産を自分の財産と分けて管理する「分別管理」や、収支の帳簿づけなどが求められ、長期間にわたって家族の一人に負担が集中しがちです。受託者を誰にするか、負担をどう分担するかは、家族でよく話し合って決める必要があります。また、家族信託は比較的新しい制度のため、対応できる金融機関や専門家がまだ限られている点もデメリットと言えます。信頼できる相談先を選ぶことが、後悔を防ぐ鍵になります。
まとめ
家族信託のデメリットは、「初期費用」「節税効果がない」「損益通算の制限」「受託者の継続的な負担」の4点に整理できます。いずれも制度の弱点ではありますが、事前に理解し、家族で目的を共有したうえで設計すれば、多くは対策や納得のうえで進められるものです。デメリットだけを見て諦めるのではなく、ご自身の家庭にとって家族信託が本当に必要か、他の方法(遺言や任意後見など)と比べてどうかを、専門家と一緒に検討することをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
熊本で遺言書を作成するには?種類・費用・公証役場と失敗しない進め方

「熊本で遺言書を作りたいが、何から始めればよいか分からない」という方は少なくありません。結論から言うと、熊本で遺言書を作成する方法は大きく自筆証書遺言(自分で書く方式)と公正証書遺言(公証役場で公証人に作ってもらう方式)の2つがあり、確実に遺す想いを実現したい場合は公正証書遺言が有力な選択肢になります。この記事では、それぞれの違い・費用の目安・熊本での進め方を、順を追って解説します。
熊本で作れる遺言書の種類と選び方
一般的に利用される遺言書は次の2種類です。
自筆証書遺言は、遺言者本人が全文・日付・氏名を手書きし、押印して作成します(財産の一覧である「財産目録」はパソコンでの作成も認められています)。費用がほとんどかからない手軽さが魅力ですが、書き方の形式を1つでも誤ると無効になってしまうおそれがあります。作成した遺言書は法務局(熊本地方法務局など)で保管してもらう「自筆証書遺言書保管制度」を利用すると、紛失や改ざんのリスクを抑えられます。
公正証書遺言は、公証役場で公証人が本人の意思を確認しながら作成する方式です。専門家である公証人が関与するため形式不備で無効になる心配が少なく、原本は公証役場に保管されるため紛失の心配もありません。相続財産が多い方や、相続人どうしの争いを避けたい方に向いています。
熊本で公正証書遺言を作成する流れ
熊本で公正証書遺言を作る場合、おおむね次のステップで進みます。
まず、誰にどの財産を遺したいのかを整理します。次に、戸籍謄本や不動産の資料(登記事項証明書・固定資産評価証明書など)といった必要書類を集めます。書類がそろったら公証役場(熊本市や八代市などにあります)と内容を打ち合わせ、当日は証人2名の立会いのもとで内容を確認し、署名・押印して完成です。証人には未成年者や相続人など一定の関係者はなれないため、専門家に証人を依頼するケースもあります。作成日当日にいきなり完成するわけではなく、事前の準備と打ち合わせが重要になります。
熊本で遺言書を作成する費用の目安
自筆証書遺言は、自分で書けば作成費用はほぼかかりません。法務局の保管制度を使う場合の手数料は1件3,900円です。
公正証書遺言の場合は、遺言に記載する財産の価額に応じて公証人手数料が決まります。財産の額や相続人の人数によって変わりますが、数万円程度からとなることが多く、これに専門家へ依頼する場合の報酬が加わります。費用だけを見ると自筆証書遺言のほうが安く済みますが、無効になるリスクや相続手続きの円滑さまで含めて考えると、公正証書遺言のほうが結果的に安心できる場合も多くあります。
熊本で失敗しない遺言書作成のポイント
遺言書は、形式面だけでなく「内容」がとても大切です。特定の相続人に配慮するあまり、他の相続人の遺留分(最低限保障された取り分)を侵害してしまうと、かえって争いの火種になることがあります。また、相続財産の記載漏れがあると、その財産について改めて遺産分割協議が必要になってしまいます。熊本で遺言書の作成を検討する際は、地元の法務局や公証役場の事情に詳しい専門家に、内容の妥当性まで含めて相談することをおすすめします。
まとめ
熊本で遺言書を作成するには、手軽な自筆証書遺言と、確実性の高い公正証書遺言という2つの選択肢があります。費用を抑えたいなら自筆証書遺言(+法務局保管制度)、無効リスクや紛失を避け確実に遺したいなら公正証書遺言が向いています。ご自身の財産状況やご家族の事情に合わせて、無理のない方法を選ぶことが大切です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
相続を弁護士に相談すべきケースとは?熊本で弁護士を選ぶポイントを解説

「相続のことで弁護士に相談したいけれど、どんなときに頼めばいいのか」「熊本で相続に強い弁護士をどう選べばいいのか」——インターネットで「相続 弁護士 熊本」と検索される方の多くが、こうした不安を抱えています。この記事では、相続を弁護士に相談すべき代表的なケースと、熊本で弁護士を選ぶときに見るべきポイントを、わかりやすく解説します。
相続を弁護士に相談すべき4つのケース
相続の手続きすべてに弁護士が必要なわけではありません。しかし、次のようなケースでは、早めに弁護士へ相談することで解決がスムーズになり、結果的に損を防げることが多くあります。
1.相続人どうしでもめている
遺産分割の話し合い(遺産分割協議)がまとまらない、特定の相続人と連絡が取れない、感情的な対立があるといった場合です。弁護士は依頼者の代理人として他の相続人と交渉でき、当事者だけで話すよりも冷静に進めやすくなります。
2.遺言や遺留分をめぐる争いがある
遺言の内容に納得できない、特定の相続人だけが多くを受け取っている、遺留分(法律で保障された最低限の取り分)を請求したい・されたといった場面です。遺留分侵害額請求には期限があるため、早期の相談が有利に働きます。
3.財産や相続人の把握が難しい
不動産や自社株など評価の難しい財産がある、財産の全体像が分からない、相続人が多い・疎遠な相続人がいるケースです。財産調査や相続人調査を含めて手続きを一括で任せられます。
4.登記や税の手続きまでまとめて頼みたい
相続では、不動産の名義変更(相続登記)や相続税の申告など、複数の専門分野が関わります。司法書士や税理士と連携できる事務所であれば、窓口を一本化でき、手続き漏れを防げます。
熊本で相続に強い弁護士を選ぶポイント
「相続 弁護士 熊本」で探すときは、次の点を確認すると失敗しにくくなります。
相続分野の取り扱い実績があるか——相続・遺言・家族信託を日常的に扱っているかどうかで、対応の幅が変わります。登記や税と連携できる体制があるか——司法書士資格を併せ持つ、あるいは税理士と提携している事務所なら手続きが一気通貫で進みます。費用の説明が明確か——相談料や着手金、報酬の目安を最初に示してくれるかは信頼の目安です。通いやすさ・相談のしやすさ——熊本市や八代など、ご自身の生活圏から相談しやすいことも長い手続きでは大切です。
弁護士に相談するタイミングと準備
相談は「もめてから」よりも「気になった段階」が理想です。遺産分割や遺留分には時効・期限が関わるものもあり、早いほど選べる手段が増えます。相談時には、被相続人(亡くなった方)の戸籍や遺言書の有無、おおよその財産の内容(不動産・預貯金・負債など)が分かる資料を用意しておくと、話がスムーズに進みます。分からない点はそのままで構いません。まずは状況を整理するところから、専門家と一緒に始められます。
まとめ
相続を弁護士に相談すべきなのは、「相続人どうしでもめている」「遺言・遺留分の争いがある」「財産や相続人の把握が難しい」「登記や税までまとめて頼みたい」といったケースです。熊本で弁護士を選ぶ際は、相続分野の実績・登記や税との連携・費用の明確さ・相談のしやすさを確認しましょう。少しでも不安があれば、早めに相談することが円満な相続への近道です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
相続登記を熊本市で行うには?管轄の法務局と手続きの進め方を解説

熊本市内にある実家や土地を相続したとき、「相続登記はどこで、どうやって手続きすればいいの?」と戸惑う方は少なくありません。2024年4月から相続登記は義務化され、放置すると過料の対象にもなります。この記事では、熊本市で相続登記を行う場合の管轄の法務局と手続きの流れを、はじめての方にもわかりやすく解説します。
熊本市の不動産の相続登記はどこの法務局?
相続登記は、対象となる不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。熊本市内(中央区・東区・西区・南区・北区)の不動産は、熊本地方法務局(本局)が管轄です。所在地は熊本市中央区で、市内のほとんどのエリアをカバーしています。宇土市や合志市など近隣の物件は支局・出張所の管轄になる場合もあるため、複数地域に不動産がある場合は事前の確認が安心です。
なお、申請は法務局の窓口へ持参するほか、郵送やオンライン申請も可能です。平日日中に窓口へ行くのが難しい方でも手続きを進められます。
熊本市での相続登記の進め方(4ステップ)
手続きは大きく次の流れで進みます。上の図解もあわせてご覧ください。
(1)遺産分割を決める…遺言書があればその内容に従い、なければ相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がその不動産を相続するかを決めます。
(2)必要書類を集める…被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍・住民票、対象不動産の固定資産評価証明書、遺産分割協議書(相続人全員の実印・印鑑証明書付き)などを準備します。
(3)申請書を作成し法務局へ提出…登記申請書を作成し、登録免許税(固定資産評価額×0.4%)を納付して熊本地方法務局へ申請します。
(4)登記完了・名義変更…審査を経て名義が変わり、登記識別情報通知(いわゆる権利証)を受け取れば完了です。
放置は禁物。相続登記の義務化に注意
2024年4月から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務化されました。正当な理由なく放置すると10万円以下の過料の対象となります。熊本市でも、名義が祖父母のまま何十年も放置された「実家」や「空き家」が問題になるケースが増えています。相続人が増えて協議がまとまりにくくなる前に、早めの手続きをおすすめします。
まとめ
熊本市の不動産の相続登記は熊本地方法務局(本局)が管轄で、遺産分割の決定→書類収集→申請→名義変更という流れで進みます。戸籍の収集や協議書の作成、登録免許税の計算など、慣れない手続きに不安を感じる方も多いでしょう。熊本・八代で相続登記や遺産整理にお悩みの際は、地域の事情に詳しい専門家にご相談いただくのが確実です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
家族信託は危険?後悔しやすいケースと安全に始めるための対策

家族信託は本当に「危険」なのか?
「家族信託 危険」と検索される背景には、「大切な財産を任せて大丈夫か」という不安があります。結論からいえば、家族信託そのものが危険な制度なのではなく、設計や運用を誤ると後悔につながりやすいというのが実際のところです。家族信託とは、信頼できる家族(受託者)に財産の管理・処分を任せる仕組みで、認知症による資産凍結への備えとして広く使われています。仕組みを正しく理解し、要点を押さえて始めれば、過度に恐れる必要はありません。
後悔・危険につながりやすい4つのケース
実際にトラブルや後悔が生じやすいのは、次のような場面です。
1. 受託者による使い込み…受託者には財産管理の強い権限が与えられます。チェック体制がないと、私的な流用を止めにくくなります。
2. 契約設計のミス…信託の終了時期や、次に財産を引き継ぐ人(後継受益者)の定めが抜けていると、当初の目的を果たせません。
3. 税務の見落とし…信託した不動産の損失は他の所得と損益通算できない等のルールを知らずに進めると、想定外の課税が生じることがあります。
4. 家族の合意不足…他の相続人が信託の存在を知らないまま進むと、後になって「聞いていない」と争いの火種になりがちです。
安全に始めるための対策と注意点
これらの危険は、あらかじめ備えておくことで大きく減らせます。まず、受託者の暴走を防ぐには信託監督人(受託者を監督する第三者)を置くことが有効です。契約書は目的に沿った条項を漏れなく作り込み、公正証書で作成しておくと有効性をめぐる争いを防げます。あわせて税理士と連携し課税リスクを事前に整理し、契約前には家族全員に趣旨を説明して納得を得ておくことが、後悔を避ける最大のポイントです。
まとめ
家族信託は、正しく設計・運用すれば認知症対策として非常に頼りになる制度です。「危険」「後悔」と言われる原因の多くは、権限の暴走・設計ミス・税務の見落とし・家族の合意不足に集約されます。専門家の関与のもとで一つずつ対策を講じれば、安心して始められます。ご不安な点は、始める前に専門家へ相談することをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
相続登記の義務化とは?2024年開始のルールと過料を避けるポイント

相続登記の義務化とは
相続登記とは、亡くなった方(被相続人)が所有していた土地や建物の名義を、相続した人へ変更する手続きのことです。これまで相続登記に法律上の期限はなく、「費用や手間がかかる」「相続人の間で話がまとまらない」といった理由から、名義変更をしないまま放置されるケースが数多くありました。その結果、所有者が誰なのか分からない「所有者不明土地」が全国で増え、公共事業や土地の活用の妨げになるという社会問題が生じています。
こうした状況を改善するため、2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化されました。相続で不動産を取得した人は、法律に基づいて一定期間内に登記を行う必要があります。
登記の期限と過料
義務化の内容として、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。また、遺産分割協議(相続人全員で遺産の分け方を決める話し合い)がまとまった場合には、その成立日から3年以内の登記が求められます。
正当な理由がないのに期限内に登記をしなかった場合、10万円以下の過料(かりょう・行政上のペナルティとして課される金銭)が科される可能性があります。「正当な理由」には、相続人が極めて多数で戸籍の収集に時間がかかる場合などが想定されていますが、単に忙しい・面倒といった事情は認められにくい点に注意が必要です。
過去の相続も対象になる点に注意
見落としやすいのが、2024年4月より前に発生していた相続も義務化の対象になるということです。何十年も前に親から相続した土地の名義がそのままになっている、というケースも珍しくありません。
この場合の期限は、施行日である2024年4月1日から3年後、つまり2027年3月31日までとされています。「昔のことだから関係ない」と考えず、心当たりのある不動産があれば早めに名義を確認しておくことが大切です。
間に合わないときの相続人申告登記
遺産分割の話し合いがすぐにまとまらず、3年以内に正式な相続登記が難しいこともあります。そうした場合に備えて、新たに相続人申告登記という簡易な制度が設けられました。
これは、登記上の名義人について相続が発生したことと、自分がその相続人であることを法務局に申し出る手続きです。これを行えば、ひとまず登記義務を果たしたものとして扱われ、過料を避けることができます。ただし、これはあくまで暫定的な措置であり、遺産分割がまとまった後には改めて正式な相続登記が必要になります。
まとめ
相続登記の義務化により、不動産を相続した方は原則として3年以内の名義変更が求められるようになりました。過去に発生した相続も対象であり、2027年3月末までの対応が必要です。手続きには戸籍の収集や書類作成など専門的な作業が伴い、相続人が複数いる場合はさらに複雑になります。期限や過料への不安を感じたら、早めに準備を進めておくと安心です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
遺言と家族信託の違いとは?特徴を知って上手に使い分ける

相続対策を考えるとき、よく比較されるのが「遺言」と「家族信託」です。どちらも大切な財産を次の世代へ引き継ぐための制度ですが、その仕組みや効力が生じるタイミングは大きく異なります。両者の違いを正しく理解することで、ご自身の目的に合った備えを選べるようになります。ここでは、それぞれの特徴と上手な使い分けについて分かりやすく解説します。
遺言とは:亡くなった後の財産の行き先を決める
遺言(いごん)とは、ご自身が亡くなった後に、誰にどの財産を引き継がせるかを書面で残しておく制度です。効力が生じるのは亡くなった時点からで、生前の財産管理には関与しません。自筆証書遺言や公正証書遺言などの方式があり、比較的手軽に作成できる点が特徴です。ただし、あくまで「次の一代」への承継を指定するものであり、その先の承継先まで縛ることは原則できません。
家族信託とは:元気なうちから財産管理を託せる
家族信託とは、信頼できる家族(受託者)に財産の管理や処分を託しておく契約です。大きな特徴は、契約を結んだ時点から効力が生じる点にあります。つまり、ご本人が元気なうちから財産管理を任せられるため、将来認知症などで判断能力が低下した場合でも、口座の凍結や不動産の塩漬けを防ぎやすくなります。さらに、二次相続以降の承継先まで柔軟に設計できる(受益者連続型)点も、遺言にはない強みです。
両者の違いと使い分けのポイント
整理すると、遺言は「亡くなった後」の財産の行き先を、家族信託は「生前から亡くなった後まで」の財産管理と承継をカバーします。認知症への備えを重視するなら家族信託、手軽に財産の分け方だけを決めておきたいなら遺言、というのが基本的な考え方です。もっとも、両者は二者択一ではありません。信託していない財産(少額の預貯金や祭祀に関するものなど)については遺言でカバーするなど、併用することでより隙のない対策になります。
まとめ
遺言と家族信託は、それぞれ得意とする場面が異なります。ご自身やご家族の状況、そして「何に備えたいのか」という目的を明確にしたうえで選ぶことが大切です。特に、認知症対策や複数世代にわたる承継を見据える場合は、家族信託と遺言を組み合わせた設計が有効なケースも少なくありません。どちらが適しているか迷われる場合は、専門家に相談しながら全体像を整理していくことをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
家族信託の契約書を公正証書で作成すべき3つの理由

家族信託を始めるとき、その土台となるのが「信託契約書」です。契約書は当事者間で作成した私文書でも法律上は有効ですが、実務では公証役場で「公正証書」として作成することが強くおすすめされます。本記事では、その理由を3つの観点から解説します。
1. 契約の有効性をめぐるトラブルを防げる
公正証書は、法律の専門家である公証人が本人の意思や判断能力を確認したうえで作成します。そのため後日、相続人などから「本人は認知症で判断能力がなかったのではないか」「無理やり書かされたのではないか」といった主張が出ても、契約の有効性を争われにくくなります。長期にわたって効力を持つ家族信託だからこそ、入口での確実性が重要です。
2. 金融機関で信託口口座を開設しやすい
家族信託では、受託者が信託財産を管理するための「信託口口座(しんたくぐちこうざ)」を金融機関に開設するのが一般的です。多くの金融機関は、この口座開設の条件として信託契約書が公正証書であることを求めています。私文書のままでは口座開設を断られるケースもあるため、実務上は公正証書化がほぼ必須といえます。
3. 原本が公証役場に保管され、紛失・改ざんを防げる
公正証書の原本は公証役場に保管されます。手元の正本や謄本を紛失しても再発行が可能で、第三者による改ざんの心配もありません。数十年単位で続くこともある家族信託において、契約書が確実に残ることは大きな安心につながります。
まとめ
公正証書での作成には手数料がかかりますが、「有効性の担保」「信託口口座の開設」「原本の安全な保管」という3つのメリットは、その費用を十分に上回るものです。家族信託を検討される際は、当初から公正証書での作成を前提に準備を進めることをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。相続・家族信託に関するご相談は、この街の相続(弁護士・司法書士 西田幸広)までお気軽にお問い合わせください。
